ササゴとサトコ。干し草のクッションへ、はだかでダイブ。

『ササゴとサトコ』〜落合さとこ(vo)×笹子重治(g) @下北沢CIRCUS

一人で完結するいつものピアノ弾き語り。
自分に集中して、深く潜ってゆく。内側に向かう世界。
デュオはといえば、相手を信頼して全部預ける。
気持ちが合わさり、膨らんで、外へ外へと広がってゆく。
それをつくづく実感した夜でした。
お越し頂いた皆さんからのアンケートやメールなどによると、
私と同じようなことを感じた方、多かったようです。
笹子さんは、やっぱり凄い。
たった二回のリハなのに、しかも彼にとっては全てが新曲なのに、
私の微妙な間合いに合わせて、一緒に歌の世界を創ってくれる。
「かなり相性が良いんだと思う」
と、あまりに嬉しいことを言ってくれましたが、
でも、私も偉大なセンセを前に、変に気負うことなく、
昔からのデュオのような自然な空気感でいられたのも事実。
知り合ってから20年弱。
いつかは私も笹子さんと!と思っていたけど、
勇気を出して、一緒にやってください、と告白してヨカッタ。

今回のデュオ計画があがるまで、サシで長く喋ったことなどなかったのに、
ライブ中のMCも当たり前のように、いろいろ絡んで喋ってくれた笹子さん。
奥様の名前がサトコだという衝撃の話しから始まり、
老眼で譜面が見えないとか、記憶力が乏しくなるとか…。
そして、真面目なデュオの面白さなども。
最後には
「今は(譜面を見て歌をどれだけ思い出せるかという)記憶との闘いなんだけど、
 早く(アドリブが出まくるようなこなれ具合の)芝居の『千秋楽』になりたい」
なんて話も!
ということは、二回目も三回目も……あるってことですよね!?
と、みんなの前で意思確認。
一緒に帰路についた電車の中でも、ついまた聞いてしまいました。
だって嬉しかったんだもの。
頂いたアンケートはどれも貴重な言葉だったのですが、
特にお気に入りのものを紹介させて頂きます。
「さとこ弾き語りよりも、
 歌からにじむさとこキャラが拡大されて聞こえる感じがしました。
 〜中略〜笹子さんがひっぱりだこなのがわかる!
 笹子さんの素敵なギターは、さながら上質な干し草のクッション。
 歌姫達ははだかでダイブできるんだなぁと!」
アンコールは念の為に用意していた「揺れるおじさん」を初披露。
笹子さんとも交流のある作家の久保研二氏が、
笹子さんの心境を汲み取って歌詞を書き
それに笹子さんが曲をつけた、珍しい組み合わせの歌。
笹子さんの揺れる気持ちが、皆さんに染みたようデス。うふふ。
というわけで、笹子さんの記憶が薄れないうちに、
早めに二回目の計画を練らなくては。
これから、どんな千秋楽デュオになってゆくのか、
また、自分がどんなシンガーに変化してゆけるのか、とても楽しみです。
皆さんもその経緯を是非一緒に味わって下さい。
笹子さん、次回はさらに思い切りダイブさせて下さい。
干し草のお手入れを、よろしくお願いします。

【セットリスト】
前半:生きる/鼓動/ひだまり/のうみそ/夜の物語
 /馬鹿な女/どぶ猫ブルース/近くへ遠くへ
後半:大人のせんたく/お米と歌と/魔法のふりかけ/父の鼻歌
 /キリギリス/幸せの汽笛/筆箱/大人のおやすみ数え唄
En:揺れるおじさん