CD「猫の真珠」エピソード#2〜ギター1本、うた1本


きづけば、落合さとこの前作・5枚目のアルバム
「satoko ochiai」から6年も経っており、
去年あたりから、新しいアルバムを創りたくて
ウズウズしていました。

今回、思い描いていた世界観は、なんの迷いもなく
最初から笹子重治さんのギター1本、というスタイルでした。
2014年から笹子さんと
デュオとして活動をさせてもらっていますが、
笹子さんは、歌い手にとって、
唯一無二の貴重なギタリストだということを、
ライブをやればやるほど感じるのです。

譜面をなぞるのではなく、
私が表現したい世界を、ちゃんと身体に落とし込んで血肉にしてから、
たった一本のギターでそれをすべて表現してくれる。
自ら前に出ることなく、歌を最高にひきたて、
時にからまりあい、時に溶け合える。
あぁ〜〜、自分の創った歌を、そんな風に一緒に奏でてくれる人がいるなんて!
サイコー!
逆に他の楽器をそこに足すなんて勿体無い!
………と思うわけです。
笹子さんのギターにすべてを委ねて、
あとは、歌うことに全神経を注げばいい。

………と、やりたいことをやっているのですが、
そういえば、シンガーソングライターで、
弾き語りもせず、
他者が演奏する、たった一種類の楽器のみで、
アルバム全曲を録音するというのは、
ほとんど聞いたことがありません。

昔の私のアルバムもそうでしたが、
一般的には、歌ごとに、いろいろと編成が変わり、
いろいろなミュージシャンが参加します。
笹子さんが言っていたように
「アルバムの中でギターと歌だけというアレンジは普通、
 1〜2曲しかない」のです。

ということは、今回かなり、
変態的なことをしているのだなぁと自覚し、
そこで改めて自分について考えました。
すると、見えてきたのは「それなりの覚悟」。
この、誤魔化しようのないシンプルなスタイルで、
今の自分を表現するんだ、という強い気持ちでした。
(今回は、私自身のコーラスの多重録音もありません)。

丁寧に創りあげた歌(作詞、作曲)、
最高の、たった一人の演奏者、
そして、それらにふわさしい、歌唱を目指す!
逃げも隠れもしないゾ。