CD「猫の真珠」エピソード#3〜歌詞のこと、歌唱のこと。

音、いわゆるサウンドについては、
全面的に笹子さんにお願いしたので、
何も心配はありませんでした。

気がかかりなのは、歌詞のことと、歌唱のこと。
案外、皆さんアルバムづくりについて、
そこは気にしないのかもしれませんが、
私にとってはとても重要なポイント。

そこで、事前の歌詞のチェックと、
歌唱のご意見番を、
作家の久保研二サンにお願いしました。
なかなか外からはわかりにくい仕事内容(?)ですが、
久保サンの存在は実に大きかったです。

歌詞を見直す作業では、
大きく変えたものもあれば、
たった一文字をどうするかさんざん迷って
最後に変えたものもありました。
これは、自分の能力だけでは無理なことがわかっていたので、
大いに久保サンの意見、知恵を頂きました。

自分の中には世界観や伝えたいことが明確にあるにも関わらず
ぼやけてしまっていた作品が、
久保サンの指摘でたったワンセンテンスでも書き直すと、
ぐっと良くなるだから、たまりません。
「ランプのつぶやき」などは、大改造して大好きになった作品です。

歌唱について。
これは、今回は、私は演奏はしなくて良いので、
レコーディングは「歌うこと」に集中すれば良いのですが、
やはり第三者の意見がどうしても欲しいわけです。

これも普段から、久保サンには、
歌における日本語の発音についてさんざん言われているし、
歌詞の見直し作業を一緒にやってもらったことで、
歌それぞれの内容も熟知していたので、
レコーディングにも立ち会ってもらいました。

言葉が聞き取りにくくないか、
語彙が妙に強くなっていないか、
伝えたいニュアンスがあっているか、
など、チェックしてもらいます。

大きな流れのことを言われることもあるのですが、
とても細かなことまで意見が出ます。
例えば、
「ここの『やさしく』の『し』は、とにかく優しく発音するように」とか、
「『そうね』の『ね』は、少し、間を開けて、丁寧に置くように」とか。
私としては、いちいち、納得!なのでした。


ちなみに、アルバムの最後の曲は唯一私以外の作品、
笹子さんもお気に入りの、久保研二作詞作曲「月光」です。
歌詞カードのライナーも書いてもらいました。

久保サンは、ダミ声の関西弁&独特のキャラクターのせいか、
何もしなくても存在感が出てしまうのですが、
今回、いわゆる「陰の立役者」であったことは間違いないです。